問1(権利関係)
令和5年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1. 期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、期間を1年とするものとみなされる。
2. 当事者間において、一定の期間は建物の賃料を減額しない旨の特約がある場合、現行賃料が不相当になったなどの事情が生じたとしても、この特約は有効である。
3. 賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。
4. 現行賃料が定められた時から一定の期間が経過していなければ、賃料増額請求は、認められない。
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正解:3
1. 誤り:期間を1年未満とする建物の賃貸借は、「期間の定めのない」建物の賃貸借とみなされます。1年とするものではありません。
2. 誤り:借地借家法第32条の借賃増減請求権の規定に反し、借主に不利となる「賃料を減額しない旨の特約」は無効とされます。
3. 正しい:賃貸不動産が譲渡された場合、原則として賃貸人たる地位は譲受人に移転しますが、譲渡人と譲受人との間で賃貸人たる地位を留保し、譲受人が譲渡人に賃貸する(サブリースする)旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しません。
4. 誤り:一定の期間が経過していなくても、建物の税金などの負担の増減や経済事情の変動により賃料が不相当となった場合には、将来に向かって賃料増減請求をすることができます。(ただし、増額しない旨の特約がある場合を除きます)。
問2(法令上の制限)
都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. 市街化調整区域は、土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備に支障が生じるおそれがある区域とされている。
2. 高度利用地区は、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画に、建築物の高さの最低限度を定める地区とされている。
3. 特定用途制限地域は、用途地域が定められている土地の区域内において、都市計画に、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とされている。
4. 地区計画は、用途地域が定められている土地の区域のほか、一定の場合には、用途地域が定められていない土地の区域にも定めることができる。
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正解:4
1. 誤り:記述の内容は「非引く線都市計画区域」の定義の一部に似ていますが、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」です。
2. 誤り:高度利用地区は、容積率の最高・最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度などを定める地区です。「建築物の高さの最低限度」を定めるわけではありません。
3. 誤り:特定用途制限地域は、用途地域が「定められていない」土地の区域(市街化調整区域を除く)内に定める地域です。
4. 正しい:地区計画は原則として用途地域が定められている土地の区域に定めますが、一定の要件を満たせば、用途地域が定められていない土地の区域にも定めることができます。
問3(税その他)
印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の契約書はいずれも書面により作成されたものとする。
1. 売主Aと買主Bが土地の譲渡契約書を3通作成し、A、B及び仲介人Cがそれぞれ1通ずつ保存する場合、当該契約書3通には印紙税が課される。
2. 一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額5,000万円)と建物の建築請負契約(請負金額6,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は1億1,000万円である。
3. 「Dの所有する甲土地(時価2,000万円)をEに贈与する」旨を記載した贈与契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、2,000万円である。
4. 当初作成の「土地を1億円で譲渡する」旨を記載した土地譲渡契約書の契約金額を変更するために作成する契約書で、「当初の契約書の契約金額を1,000万円減額し、9,000万円とする」旨を記載した変更契約書について、印紙税の課税標準となる当該変更契約書の記載金額は、1,000万円である。
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正解:1
1. 正しい:契約書を複数作成し、それぞれが当事者や仲介人等の関係者によって保存される場合、課税文書の作成にあたり、その作成された通数すべてに印紙税が課されます。
2. 誤り:土地の譲渡契約(第1号文書)と建物の建築請負契約(第2号文書)が1つの契約書に記載されている場合、記載金額が高い方の金額がその契約書の記載金額となります。したがって、請負金額の6,000万円となります。
3. 誤り:贈与契約書は、契約金額の記載がない文書とみなされます。物件の時価が記載されていても、記載金額とはなりません。
4. 誤り:契約金額を減額する旨の変更契約書は、記載金額のない文書として扱われます。減額分の1,000万円が記載金額になるわけではありません。
問4(宅建業法)
宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供すること(以下この問において「37条書面の電磁的方法による提供」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、当該契約の相手方から宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を得なければ、37条書面の電磁的方法による提供をすることができない。
イ. 宅地建物取引業者が媒介業者として関与する売買契約について、宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を取得するための通知の中に宅地建物取引士を明示しておけば、37条書面の電磁的方法による提供において提供に係る宅地建物取引士を明示する必要はない。
ウ. 宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供されたファイルへの記録を取引の相手方が出力することにより書面を作成できるものでなければならない。
エ. 宅地建物取引業者が媒介業者として関与する建物賃貸借契約について、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供するファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じなければならない。
1. 一つ2. 二つ3. 三つ4. 四つ
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正解:3
ア 正しい:37条書面を電磁的方法により提供するには、あらかじめ相手方の承諾を得る必要があります。
イ 誤り:承諾を取得する通知に明示してあっても、提供する電磁的記録(ファイル)そのものにおいても、当該書面の作成を行った宅地建物取引士を明示する(記名押印に代わる措置)必要があります。
ウ 正しい:電磁的方法による提供は、相手方が出力して書面を作成できる(印刷できる)方式で行わなければなりません。
エ 正しい:電磁的方法による提供においては、改ざん防止措置(改変が行われていないか確認できる措置)を講じる必要があります。
したがって、正しいものはア、ウ、エの三つとなります。
問5(免除科目)
次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1. 令和3年度宅地建物取引業法の施行状況調査によれば、令和4年3月末における宅地建物取引業者の全事業者数は14万業者を超え、8年連続で増加した。
2. 令和5年地価公示によれば、令和4年1月以降の1年間の地価について、地方圏平均では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年連続で上昇し、工業地は6年連続で上昇した。
3. 建築着工統計調査報告(令和4年計)によれば、令和4年の民間非居住建築物の着工床面積は、前年と比較すると、工場及び倉庫は増加したが、事務所及び店舗が減少したため、全体で減少となった。
4. 年次別法人企業統計調査(令和3年度)によれば、令和3年度における不動産業の売上高営業利益率は11.1%と2年連続で前年度と比べ上昇し、売上高経常利益率も12.5%と2年連続で前年度と比べ上昇した。
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正解:1
1. 誤り:宅地建物取引業者の事業者数は増加傾向にありますが、令和4年3月末時点では約12.9万業者であり、「14万業者を超え」という記述は誤りです(※当時の統計数値に基づく出題)。
2. 正しい:地価公示の動向として、地方圏の全用途平均等は上昇傾向にありました。
3. 正しい:民間非居住建築物の着工床面積に関する動向として、工場・倉庫は増加、事務所・店舗が減少という傾向は正しい記述です。
4. 正しい:法人企業統計調査における不動産業の利益率は、記述の通り2年連続で上昇傾向にありました。
(※統計データは出題年度の公表値に基づきます。受験年度ごとの最新の統計数値を確認してください。)